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読書録 『初陣--隠蔽捜査 3.5--』

読書録が続きますが、
新潮文庫 今野敏 『初陣--隠蔽捜査 3.5--』 一日分の通勤時間で読了
http://www.shinchosha.co.jp/book/300254/
 
隠蔽捜査シリーズの主人公、警察官僚の竜崎伸也と、
同期キャリアで小学校も同じクラスという伊丹俊太郎が関わる短編集である。
本編は竜崎が主格で物語が進むのだが、この短編集は伊丹を軸に事件を解決していく。
竜崎は、警察庁本庁にいて、あるいは、都内の警察署にいて、
伊丹の電話での情報から、事件や不祥事を解決するジャックポットを探し当てていく。
アームチェアディティティブという推理分野があるが、竜崎のは………
                      ええと、警察署長が、署長室で推理してるんだから、いたって普通か?
いやいや、伊丹が投げる事件は竜崎の署の本務ではないので、
やっぱり事件に関係のない場所で、推理が繰り広げられると言っていいだろう。

仲がいいんだか悪いんだかわからない(いいのかな? 一方的なのかもしれない)
伊丹と竜崎の掛け合いが絶妙である。
文章の明快さや軽妙さ、真面目な応答をする彼らを面白く描きだすのは、
さすがカラー戦隊シリーズ(注1)の今野敏だと言えるだろう。   
                  <<注) 警視庁科学特捜班シリーズのこと。
カラー戦隊シリーズだと、大人の読む小説としては軽すぎるきらいもあるのだが、
竜崎シリーズは軽さ重さの度合いが、ちょうどういい。
強いていえば、竜崎のカタブツさ加減や嫌な奴ぶりに読者の方が慣れてしまって、
だんだん驚きが少なくなってきちゃってるのかな………
 
 
なお、名探偵や名刑事の明晰さを際立てようとするあまり、
周囲のワトスン役をとてつもない馬鹿に設定する推理小説も多いのだが、
ワトスン役の伊丹は、表もあれば裏もある賢い警察官僚である。
公官庁の融通の利かなさや建前も、上手く噛み砕いて話に絡めてるなあ、と、思う。
 
テレビシリーズであっても、全然おかしくないエンターテイメント加減である。
 
竜崎がもう少し紳士だったら『相棒』の水谷豊みたいになるんだろうし、
伊丹がもう少し根っから熱血漢だったら、船越栄一郎の『その男、副所長』みたいになるのだろうとと思うが、
竜崎はタテマエ重視のカタブツでありながら、水谷豊みたいな紳士ではないし、そもそも、嫌なやつである。
同様に、伊丹も周りに気を使ってコンセンサスをとりつつ物事を勧めていくのは、
船越栄一郎みたいな偉ぶらない善人だからではなく、劣等感バリバリの小心者だからだ。
 
いや、これ、うまくドラマ化されたら思いっきりヒットしそうな気がするんだが。
                              って、2時間ドラマでドラマ化されてるのか。
個人サイトっぽいけど、上手く書いてもらっているのでリンク。 
                  http://homepage3.nifty.com/papico2sasu/CCP011.html
 
wikiでも出てますな、竜崎伸也が陣内孝則、 伊丹俊太郎は柳葉敏郎………
双方ともいい役者さんとは思いますがね、陣内さんの演技、良かったという評判ですがね、
もっと嫌な奴な感じの人がいいなあ、杓子定規で嫌な奴が似合うとは言わないが、
西村和彦が出ているようなので、彼の方が良かったんではないかという気がする。
柳葉敏郎も………シリーズもの全部この人でやるには無理がありそうな気がする。
伊丹はもっと大柄でカッコいい人がいいなあ。
舞台の竜崎は上川隆也なようだ、うん、この人なら似合うかも~ と、思うが、
伊丹が中村扇雀…………恰幅がいいのはわかるし、カッコいいのもわかるが、、、
そこはかとなく常に女装のイメージが付きまとっちゃうんですけど。

小説と関係なくなってきたので、この辺で。 
                  とにかく、めちゃくちゃ面白かったです。 皆さんにお勧め