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読書録 『真夏の方程式』

文春文庫 『真夏の方程式』 東野圭吾 読了
 
相変わらず、この小説のなぞ解きに、主人公が大学教授である必要はない。
頭の回転が良く、観察力のある探偵ならば、誰でもいい。

だから、ガリレオシリーズであるで必要はない気がする。

私はガリレオシリーズだと思って読んでいたから、
比較的早い時点で、サイズの違う二つの実験装置に思い当ってしまった。
 
別の犯人、別の動機、別の凶器で事件が解決に向かっているので、
これはミスディレクションに引っかかったのか、と、悔しがっていたところ、
ああ、やっぱこういうトリックなんだよね………と
 
残念ながら真犯人は違ったが………
 
(以下、思いっきりネタバレだし、読んでない人わからないと思うので伏(?)字)
小説を読みながら、考えていたのだが、
何も知らない子供である恭平が犯人でも良かったのではないだろうか?

ロケット花火、ペットボトルロケットなどを湯川と楽しんだ後だから、、
実験することの面白さに気づいた少年が、
ボイラーと煙突を使って何かを夜空に打ち上げようと考えても、
おかしくはないのではないだろうか?
 
そして、自分が凶器を作り出してしまったことに気づいた彼が悩み、困惑し、
すべてを明らかにする必要はないというスタンスの湯川を尻目に、
警察に自首してもよかったのではないだろうか?
 
そうすることによって、16年前に殺人を犯し、
それを隠し通し通すことでそれぞれに苦しんできた川畑一家と仙波や、
なんだかんだと甘ったるい湯川を全部弾き返す輝きになったのではないだろうか?
玻璃の海の輝きにも引っかけて、恭平の一人勝ち(←小説のキャラとしてね)でも
良かったんじゃないかなあ、と。

で、どの辺が方程式なのよ。
 

ガリレオシリーズを読み始めた時、
湯川は特に頭の回転が速いわけではないけど、物理学者としての専門知識がある、
というタイプの探偵役なのだと思っていた。
初期の短編は、彼の知識だけで解決していたと思う。
まあ、そんなに特殊な物理現象が絡む事件が、次々起きるのも不自然だが。
 
不自然だからという理由かどうか知らないが、東野圭吾は、その路線をやめたのではないかと思う。
湯川は単に頭の回転の速い探偵で、時々自分の職業でもある物理の知識を使う、としたのだ。
そういう探偵は多くいるので、というよりも、
探偵が、自分だけが知っている特殊な知識・情報を使って事件を解決したら、
そっちの方が、読者の顰蹙を買う。
だから、湯川は普通の探偵になったのではないかな。
そう考えて、ガリレオガリレオ的でなくても、気にしないほうがいい、とも思う。
………少し残念だけれどね。

というわけで、いろいろ“突き放した感”はあるけれど、小説としては面白かったです。
少なくとも、容疑者Xよりも好きです。
 
 
         でも、携帯電話をホイルで包む意味を、すぐにわかる小学生はいないと思うな。
         なんだかんだと、東野圭吾は理系頭のようだ。