読書録 『クトゥルー神話の本』
うんざりするほどURLが長いので、幾分でも短いアマゾンのレビューをリンク
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とっても変わった本だ。 でも大好き。
(小説は良くても解説は「?」な人がいる、と知った) 玉石混交だったが、
その中の情報はみな興味深く、面白かった。
読んで感じたことを一言でいうと、ラブクラフトって変な奴だったんだな、ってことだ。
幼少期に見たという、空中に開いた穴を、大人になってからも見ていたのかもしれない。
かといって、彼の小説はおどろおどろしい不可思議なものを、結論(謎解きの答え)にはしない。
科学的な分析眼を持ちつつ、幼少期から超常現象にのめりこんでいったのだからこそ、
筋金入りのホラー作家(超常現象作家?)になったのだと思う。
この本の中に、とても印象的なQ&Aがあった。
質問:私もクトゥルー神話を書きたいのですが、誰かの許可は必要なのでしょうか?
回答:おそらくあなたがラブクラフト及びその後継者たちをリスペクトする限り、
誰もあなたがクトゥルー神話作品を書いたことをとがめないでしょう。
その代り、あなたのクトゥルー魂や遊び心が見えなければ、それは空虚な作品とみなされるでしょう。
だから、クトゥルー神話の世界にのめりこむ作家は多くなったし、愛されたんだよな、と、思う。
オリジナルの旧支配者を作る作者も多いし、邪神や魔道書さえあれば神話作品扱いだし、
それがなくてもクトゥルー神話的なものはたくさんある。
ああ、これはクトゥルー神話ネタだな、と、思いながら読む小説がある。
ラブクラフトに捧げたホラー作家の作品が、それはそれは大量にある。
阿部公房の水中都市はどうだったんだろう、とふと考える。
『水中都市』では、父親の体が膨らんで、爆発して、魚になる。 町が水中に変わっていく。
魚となった元人間に、人間が喰われていくコメディ(←偏見)だ。
とてもクトゥルー神話的なのだが、検索の好きな私が、こればかりは調べないでいる。
とてもクトゥルー神話的なのだが、検索の好きな私が、こればかりは調べないでいる。
あの中の一説が好きだ。
読んだのがはるか昔なので、おぼろげだが
普通のおじさんがタバコをつけようとして、なかなかつかず、「大分水っぽくなってきたな」、と、言うシーンだ。
普通のおじさんがタバコをつけようとして、なかなかつかず、「大分水っぽくなってきたな」、と、言うシーンだ。
水中都市に呑みこまれていく彼らは、とても潔い。
化け物が出てきても、パニックホラーではなく、静かに他の生物になるのを受け入れているようで、
案外こんなものかもしれないね。 なんて、言いたくなるのだ。