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読書録 『眠れぬイブのために』

ハヤカワ文庫 『眠れぬイブのために』 ジェフリー=ディーヴァー 読了。
何年か前に古書店で購入したまま忘れていた本。

ボーンコレクターでブレイクする前のディーヴァー作品だが、
彼の面白さは、相変わらず(いや、こっちの方が先なのだろうが)だ。

<あらすじ>
記録的な嵐が近づく夜、精神病院を出た死体運搬車に積まれた死体袋をやぶって、
筋肉隆々の巨漢が這い出た。彼の名はマイケル・ルーベック─
俗にインディアン・リープ事件と呼ばれている凄惨な殺人事件の犯人だった。
ルーベックは、裁判で自分に対して不利な証言をした女教師リズに復讐の鉄槌を下すため、
脱走をくわだてたのだが……    amazon Book データベースより。


ディーヴァ-にはいろんな作風、ストーリー展開のパターンがあって、長編小説ごとに違う。
それがいずれも面白い作品になっていて、
その結果、小説がどんな方向性に転ぶかわからない、という(読者側の)期待感につながる。
この作品も、怪しい、犯人っぽい人がたくさん出てくるので
(しかも、そういうわけでディーバーだから落としどころが予期できず) 推理物としても楽しめた。

パラレルに数人を描き、それらがすれ違いつつ話がまとまっていくのは、スティーブンキングっぽく、
最近の海外刑事ドラマのパターンの一つだ。
また、『秘密の友人』(アンドリュー・クラヴァン)に似た感じがするのは、
精神障がい者の一人称(視点)記述が入るせいかな。

上下巻で、内容的と比較してちょっと長いかな、と思わないでもないが、
たくさんの布石やちょっとした違和感まで、ラストでは綺麗に氷解するのはさすが、と、思う。

そういうわけで、
面白いので、お勧めです。


*私が、“なんとなく嫌な奴” だなあ、と、思ったものの途中で犯人候補から外した人間が、真犯人でした。
*翻訳者は、最後まで読んでから、犯人が分かっていて訳したのかなあ。