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読書録 『ZOO1』 & 『ZOO2』

部分的には過去の読書録。
集英社文庫 『ZOO』 乙一 読了。

中村文則の『迷宮』を読みながら、他にも若い作家でいい文章を書く人がいたなあ、と思い出した。
一人称記述で自分を見つめ、シャープな感性と平易な文章でクールに内象描写をする。
まあ、両者ともスタンスはどこか純文学っぽいのだが、
乙一作品が純文学だというのは、ハムスターが霊長類だというくらい無理がある気がする。
.とまあ、山田某と並んで若者に人気がある乙一なのだが、
この二人が同格で、双方愛せるという若者は心が広いのか、いい加減なのか、縦書きなら何でもいいのか。
なお、山田某が純文学だったら、キッチンタイマーですら霊長類だと言える。←意味不明


さて、ZOOは短編集で、
『カザリとヨーコ』、『SEVEN ROOMS』、『SO-far そ・ふぁー』、『陽だまりの詩』、『ZOO』が入っている。

この中の 『SEVEN ROOMS』 は私が乙一作品に一目置くきっかけになった小説だ。

地下室の7部屋に監禁され、毎日1人(一部屋)ずつ切り刻まれて殺されるという、でろんでろんのホラーだが、
気持ち悪くて、怖くて、でも、限界状況でも温かみがあって、バッドエンドのラストなのに感動する。
後味は、良いとも悪いともいえる。
この方法しかなかったんだ、という気がして、すごく悲しい。
.           強いて言えば、『冷たい方程式』的な?  ←SFファンにしか通じねえぞ

クリーチャーと闘う系のホラーにならたまに見かけるが(←キング原作のものなど)、
敵と戦って、感動があって、でもスプラッタ、という組み合わせが、日本ではあまりなかった気がする。
アンソロジーの中でこの作品を見つけた時は、うれしかったなあ。

『陽だまりの詩』、これも昔読んだことがある。
近未来SFというのか、終末後の未来世界というのか、要はロボットものだ。
ロボットと人間(?)の関係、風景の綺麗さと、登場人物たちの諦め感みたいなものと……
こちらにコメントをくださる歌鳥氏の作品に似てるな、と、思ったのが第一印象だった。
再読しても、いいなあ、この小説、と、思う。 ウサギのシーンなんて、絵を描きたくなる。


ただ、他の3編はまあ、ありふれていると言えばありふれていて、オチが見えるかも。
というわけで、一編ごとを読んでいけばいいのだが、
全体で見ると寄せ集め的な文庫になってしまっている。
通さないで、ゆっくり読んでいった方がいいと思う。


少なくとも、『Seven Rooms』、『ZOO』などは、
ホラー好きだけど、ホラーだけじゃ物足りない、
という人にお勧めです。



ZOO2』 も読んだので追記。 集英社文庫 乙一

『血液を探せ』 : 緊張感のなさが好き。寸劇みたいにお笑い芸人にやってほしい。
ただ、誰かに似てる、誰かほかの人の作品に似てるんだよな~
バカ書いてるときの泡坂妻夫かなあ、小松左京かなあ……奥田英朗かも。

『落ちる飛行機の中で』 : こちらはテレビドラマにできそうな。
トワイライトゾーンとか、世にも不思議な物語とか、そういうオムニバスの中に交じっていてもいい。
ただ、ラストはもっと破壊的にしてほしかった。
 
『冷たい森の白い家』 : ホラー漫画でこの建築(?)ネタ、読んだ気がする。
『神の言葉』 : すごくオリジナリティに富んでいるんだけど、読後感は訓話っぽい童話と同じだったみたいな。

全体的に、というか平均点がZOO1よりも高くて、インパクトはZOO1よりも低い気がします。