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読書録 『国境の雪』

柴田哲孝 『国境の雪』 角川文庫 を読んだ。

この忙しいのに長編だったので、読むのに一週間くらいかかった。

柴田哲孝はもとジャーナリストという経歴の小説家なので、
クリーチャーものの『TENGU』『KAPPA』ですら、社会情勢や日本の持つ課題を上手に入れ込む。
本当にフィクションなのか? と思うようなリアリティがある。
でも、リアリティがあるのに、サービス満載のエンターテイメントでもあるのだ。
生物系の大学院生である息子さんと一緒に文献を調べまくって書いている、という話も聞く。

さて、国境の雪 は、中国韓国アジア一円からチベットあたりまでを舞台にした話だ。
フィクションだけれど、時代と時代背景はリアルに現実をトレースしている。

冒頭に、
「この物語はフィクションである。だが登場する人物、団体、地名にはできる限り実名を使用し、
主幹となるエピソードはすべて事実に基づいている。」
 とある。
確かに、民主党政権あり、震災あり、それだけではなく、中国、韓国の要人名が次々出てくる。

あらすじは、フィクション部分を中心に書かれているが……

    2010年冬、喜び組の崔純子は国家最高機密とともに脱北、中国に入った。
    亜細亜政治研究所長・甲斐長州の意を受けた工作員・蛟竜は、
    ハルビンで純子を確保し中国から脱出を図る。
    しかし、北朝鮮国家安全保衛部の朴成勇と中国国家安全部の厳強幹は、
    純子と蛟竜の行方を執拗に追い続ける。次第に追いつめられる二人。
    さらに純子の持つ国家機密をめぐり、各国の諜報機関が暗躍する。
    日本を目指す二人が国境で見たものは何か…。
    純子と蛟竜が手にした国家機密が明るみに出た時、世界が大きく揺れ動いた…。
                                         (BOOKデータベースより)



ラストは意外だったが、これが柴田哲孝の中国観なのだろう。
私はアジアの歴史や政治に疎いので、よく知っている人ならもっと面白かったかもしれない。

長くてめんどくさい小説だが、お勧めだ。

なお、巻末には参考文献がこんな風に何ページも続いていて、小説と言うより論文みたいだな、と、思ったり。

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