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読書録 『残穢』

今日も湯島で仕事でした。行きかえりの電車の中で、文庫本を読んでた。

読み終わってから絶対手元に置きたくないほど怖い小説、と言うあおり文句の、
でもって多分それは、そこそこ有名な女優たちを使って映画化したための、番宣でもあったのだろうな、と思う、
そんな角川文庫 小野不由美 『残穢(ざんえ)』 読了。

剣士な娘が、「とにかく、ものすごく怖いらしい」 と言うので購入してしまった
読みながら、読み進むうち、そして読み終わってから、
これのどこを、どう怖がれと言うのだ?

そりゃあ、自分が和製ホラーの怖がり方がわからない、っていうのは知ってる。
それでも、『リング』は、夢で携帯電話から貞子が出てきたし (←折りたたんで潰したが)
呪怨』も暗闇からひょい、っと白い顔がのぞいているイメージが残って、いろいろ使いまわす気になった。

でもさあ、残穢ってさあ、幻聴がも知れない程度の小さい音の、
その幽霊や祟りの起源を地道に地道に探し回る、っていう話じゃん?

色々と受賞していて、審査員が「とにかく怖い」と評しているんだけど……よくわからん

     怨みを伴う死は「穢れ」となり、あらたな怪異の火種となるのか──。
     畳を擦る音が聞こえる、いるはずのない赤ん坊の泣き声がする、
     何かが床下を這い廻る気配がする。だからあの家には人が居着かない──
     何の変哲もないマンションで起きる怪奇現象を調べるうち、浮き上がってきた
     ある「土地」を巡る意外な真実。著者九年ぶりの五〇〇枚書き下ろし、
     戦慄のドキュメンタリー・ホラー長編。    (amazonより紹介) 


あれ? ドキュメンタリー風小説ではあるけれど、実際にドキュメンタリーだったん?
それなら、○○事件とか、わかるように書いてほしかったなあ。
この関連で実際に起きたという殺人事件や心中事件がどれに当たるのかピンと来ないからか、
ドキュメンタリーだと言われてもわからないし、ドキュメンタリーだと言うのなら、
国境の雪』みたいなreferenceをつけておいて欲しかったなあ。
そうすればもう少し興味が持てたり、気持ち悪さが増したりしただろうか?

ただ、それでも、ある土地に幽霊と言うかのろいのきっかけがあって、それに触れた人が感染するように、
そこで発病(?)してしまったり、それを転居先まで持ち運んで、またそこを感染源にしてしまったり、
感染した挙句、自殺したり殺人を犯したりして、それをまた呪いのきっかけになる―――
ウィルス性の伝性病と、そのミューテーションみたいで興味深かった。

日本の怪談話では、幽霊が土地についていることが多くて、
それはどのくらいの長さ、そこに居つくのかとか、
たとえば甲子園の土みたいに他の所に土を持っていかれちゃったらどうなるのかとか、
地震大陸移動で地面が動いたときはどうなるのかとか、
一軒のお化け屋敷が、数軒に分割されて売り出されちゃったらどうなるのかとか、
そこに外国人が引っ越してきたら、恨みの言葉はちゃんと通じるのかとか……
山ほど疑問があって、そのせいで日本の怪談話が怖くなかったともいえるのだけど、
それぞれに、それなりに回答を見つけてくれているようで、これも面白かった。

うん、いっそ、ウィルスっぽいならつきつめて、
怪談話が増えて増えてどうしようもない所までやって欲しい。
残穢パンデミック みたいな。 
そうなると何気にゾンビっぽいし、別の映画になっちゃうかもしれないけど。


     なお、洋物の幽霊譚では、幽霊の元を探すものが多い。
     悪魔は名前を調べるのが勝負になるし、誰の幽霊かわかると退治の仕方がわかるからだ。
     その種の小説は、ずいぶん読んだ。
     だから、主人公たちが怪現象の元を探っていこうとした部分は、よくわかった。



そういえば、昨日(金曜日)に、TVでブラピがゾンビの『Z』をやっていた。

お抹茶BOYの一人称は 「オレ」 か 「○○ちゃん」 なのだが、
最近、反抗期っぽくなってきたのか 「オレ」 が多くなって、口答えも増えた。

でも昨日は、「○○ちゃんとママ、つくばでこれ観たんだよ」 と、父親に話しながら、
ソファの私の隣に来て手をとって、自分の肩に回させた。

ゾンビが怖かったわけじゃなくて、この映画を見に行った頃に、
病気のせいもあって(この年の夏に手術をした)、ものすごく甘ったれになっていて、
ずっと私にくっついていたことを思い出したのだろう――― と、思う。


路上の幽霊よりも、通り魔が怖いし、
壁に浮かぶ幽霊よりも、シロアリやゴ○○リが怖い。
祟りなんかより、多分、きっと、心臓疾患や病原菌が怖いんだよな……