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仕事な読書録 『科学とは何か 科学はどこへ行くのか』

三恵社 『科学とは何か、科学はどこへ行くのか』 城戸 義明  読了

時々、所属学会に寄贈品として書籍が送られてくる。
それは学会誌で書評とともに、書籍紹介をしてほしい、ということなのだが、
出版社から来ることも著者から来ることもあって、寄贈された本は、書評を書いた人が貰える。

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私は雑誌、小説、専門書、どれであっても本を読むのは好きだが、
科学読み物は(よほどのことがない限り)特に好きだ。

たぶんにもれず、この本も面白かった。
文系・理系問わずわかりやすく書かれていると思う。 一文を引っ張ってこよう。


フリッツ・ハーバーによって、水と空気を原料としたアンモニア合成法が発明された。
その後、カール・ボッシュとの共同研究による、ハーバー・ボッシュ法の開発により、
高効率のアンモニア合成法が実用化された(1908-1913年)。
(中略)
世界の人口は1900年の時点では16億5千万人であったが、2014年には71億9千万人に達している。
試算によれば、すべての人間が菜食で、耕されている土地すべて耕作したとき、
40億人の人口を養えるらしい。すると残りの30億の人が飢えるという勘定になる。
ところが、このアンモニア合成による窒素肥料の出現で、小麦などの生産量は約7倍に増加した。
飢えを回避できたのは、まさに「水と空気からパンが作られた」おかげである。



**フリッツ・ハーバーカール・ボッシュは、それぞれノーベル化学賞を受賞している**
ってまあ、アンモニア合成は爆薬製造に使用されたり、第1次世界大戦のときにフリッツハーバーが
毒薬作りに精を出した、とかも、ちゃんと書かれているのだが。

読みやすくて、化学・科学の話も多々含まれていて、子供たちに読ませよう、と、思う。

ちなみに、表紙はフェルメールだ。
こんなほの暗い、油絵も好きだ。





関連、というわけではないのだが。

日野原重明さんが亡くなった。生きてらしたのか、という思いのほうが強い、105歳
日野原重明さんといえば、聖路加国際病院の有名な院長先生で、
地下鉄サリン事件のときの、野戦病院ばりの対応の迅速さが有名だった。
礼拝堂の壁の配管に人工呼吸器を取り付け、点滴台と毛布を運びこんで病室としたこと、
神経系のガスによる中毒症状であると見抜いて真っ先に対応に当たった病院だったことも有名だ。 

関連の記事を今読み直すと自衛隊の医師が滞在中だったとか、直前に神経ガスの講義を受けたとか、
偶然も幸いしたことがわかる。
640人もの患者が、運び込まれて、亡くなった方が一人、ということも、改めて知った。


廊下や、礼拝堂の壁にも、人工呼吸器。


きっと不思議で、きっと感動的な光景だろうな、と、私は思う。
医者も患者も、ただ、必死だったのだろうけれど。


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カタルニア大学の修道院の中に設置されたスーパーコンピュータ(既出だけど


科学とは何か、科学はどこへ行くのか。
検索してみると、この本以外にもいろいろとヒットする。

いろんな人が、いろんな本を出している。



ただ、私は、科学的にものを考えることと、
自然や神に対する敬虔さを失わないことは、両立すると思うんだ。