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読書録 『魔女の1ダース』

架空請求から魔女つながりで....って、ゼブラの頭の中は、
架空請求>騙し>騙し絵>安野光雅>魔法使いのABC>魔女>魔女の1ダース♪

米原万里 『魔女の1ダース  ~ 正義と常識に冷や水を浴びせる13章 ~』

「わたしたちの常識では、1ダースといえば12。ところが、魔女の世界では「13」が1ダースなんだそうな。 
そう、この広い世界には、あなたの常識を超えた別の常識がまだまだあるんです」

文庫本の後ろ表紙には、こんな言葉があった。
エッセイストで、ロシア語の同時通訳で、作家の米原氏の作品。

そうそうそうそう! と笑う部分と、
ああ、こういう切り口があったのかという部分と、
わずかに反感を覚える部分と、思い出深い一冊だ。


イングリッド・バークマンとハンフリー・ボカードの名作『カサブランカ』を
 「ナチスドイツからヨーロッパの解放を叫ぶ主人公たちが、
  フランスの植民地であるモロッコに、平気で支配者面しているおめでたさ」

           ま、映画って、そういうもんだけどさ。


「人類は愛せても隣人はなかなか愛せない」

           うん、たしかにね。


アダムとイブの国籍は?

「イギリスは紳士の国だ、リンゴがひつとつしかない時、
 それをまず女性に譲るアダムは英国紳士だったに違いない」

「たかがリンゴ一個で男に身体を任せる女なんて、フランス人以外にはいない」

「ろくに着るものもなく裸同然の暮らしをしていながら、
 食いものときたらリンゴ一個ほどしかないのに、
 そこを楽園と信じ込まされていたなんて、
            ソビエト連邦の市民以外に考えられますか?」

       文化人類学国際会議でのオフ議論だそうだが、妙に納得。ソ連の勝ち♪


「どの人間にも共通する弱みなんて存在しない。
 弱みとはその人間が弱みと思いこんだ時点から弱みとなる」

       そして、「強みは弱みにもなる」 肝に銘じておきます。


とにかく名ゼリフが満載で、出展も
各国の政治から異国の寓話・小話から漫画から……と幅広く楽しめたのだが、
惜しむらくは、この文庫本を私が読んだのは2006年なのだ。

ちょうど新刊の文庫を片手にルフトハンザに乗り、フランス・ドイツに出張した。
出張中に秋篠の宮殿下に男の子が生まれた。

フランス人やドイツ人、それから中国人と、天皇制の在り方や、女系天皇の話を山ほどした。
結論が出るはずもないが、国による考え方の違いや、歴史を考えるきっかけにはなった。
「魔女の1ダース」を読んだあとだったので、なおさら異国人の考え方がおもしろかった。

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もともと、ゼブラは小学生の後半に日本に来たから、
常識が多々存在するのは、半ば本能レベルで知っている。
同じ部屋にインドの人、アラブの人、ヨーロッパ、米国、ロシア、アジア 
いろんな人が働いていたから、いろんな考えがあるのも知ってる。
よその国に行ったら、極力、郷に従うように努めている。

それでも、米原氏のような視点を持っていられただろうか?
講演会でも、シンポジウムでも、生身の米原氏と会ってみたかった。
言葉を聞いてみたかった。

なのに........ 2006年の7月に、彼女は亡くなっている。
私がこの本を読んだ直前らしい。


とても、とても、残念だ。


今でも、そう思う。