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読書録 『夏と花火と私の死体』

集英社文庫 乙一『夏と花火と私の死体』再読終了


2000年の初版なので、そのころ購入してちょっと読んで放置していたものだと思う。

思えばこの著者がデビューした時、自分よりひとまわり以上若くて驚いたものだが、
今となっては年下の小説家など山ほどいるわけで....

        年とったよなあ ............orz


まあ、それはそれとして、感想。

「最後に、踏み台にしていた大きな石の上に背中から落ちて、わたしは死んだ。」
といいつつ、
「……体中の穴から赤黒い血が流れ出し…(中略)…そんな顔を健くんに見られると思うと悲しくなってきた。」

イメージ 1
なんというか、すっごく、変.... (^^;

この時、木から落ちて死んだ私は9歳の女の子で、
(舞台がトトロみたいな牧歌的な田舎で、
     五月(サツキ)っていうのよ、主人公ww)
                #勢いで拾ったトトロ画像 ⇒
健くんは友達の弥生ちゃんのお兄ちゃん。

死因は転落死で、木登りしてる途中に、
弥生ちゃんに突き飛ばされたせいなんだけど、
まあ、その辺はお話しの上では些細なことで。

とにかく死ぬ前と後とで、
全く同じ、ふつ~な調子の記述が続くので、
楽しいというか......違和感爆発(笑)

小説のテクニック的には、よく考えたなあ、と思う。
ネタは「死んでる人が主格」なだけである。

それだけで、普通の感性での当たり前の記述が、
違和感や特殊性の元にすりかわる。
普通であれば普通であるほどおかしい。
死んでいるからこそ、布団の下に埋められてても、
他の場所に置き去りにされてても、
関係者の行動がしっかりわかるし。
幽体離脱といえばいいのか.... 
いや、本人死んでるから離脱してて当たり前か?


そういうわけで楽しめたのだが、
手にとっても読了しなかった理由もなんとなく思い出した。

 (以下、ネタばれ要注意)

ちっちゃな嫉妬心で友達を突き落とそうが、死体隠しに奔走しようが、優等生面して歪んでいようが、
実は死んで腐りつつある幽霊状態の記述であろうが、それはそれで疑いなく子供の感性として書かれている。
そんな中で、19歳のオトナである緑さんがさりげなく振りまいている腐臭は、限りなく目立つ。
それだけれも着眼に値するのに、緑さんの職場はアイスクリーム工場である。

死体があって、アイスクリーム工場があって、死体隠しに困るらしい子供がいて。

     もう、ここしかないじゃないですか...... orz
     いくらなんでも見え見えすぎ~ (T-T)

冒頭の子供の連続行方不明事件の時に、緑さん意味深な発言してるしね~
そっちもこいつが犯人かのぉ?
            というわけで、推理モノとしてはめっちゃシンプルだったのです。
ぱらっと最後捲ったら、そのとおりになってたので、本棚の藻屑となっていたわけですね。

今回は、手元に漂流してきたわけだけども。
そのおかげで、ちょっと面白いものも読めたのだが......というわけで、同文庫に収録の『優子』に続きます。