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読書録 『記憶屋』

ジョニィ~! と、件の作品のオマージュだと思って購入してしまったわけだけども、
SFのかけらすらもなかった

角川ホラー文庫 織守きょうや 『記憶屋』 読了。

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    大学生の遼一は、想いを寄せる先輩・杏子の夜道恐怖症を一緒に治そうとしていた。
    だが杏子は、忘れたい記憶を消してくれるという都市伝説の怪人「記憶屋」を探しに行き、
    トラウマと共に遼一のことも忘れてしまう。
    記憶屋など存在しないと思う遼一。しかし他にも不自然に記憶を失った人がいると知り、
    真相を探り始めるが…。記憶を消すことは悪なのか正義なのか?
    泣けるほど切ない、第22回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞作。 (Bookデータベースより内容紹介)


amazonのレビューを読むと、ラノベだとか、描写がふるいだとかかなり厳しい評価がついているが、
書かれているほど悪くない。

確かに、冒頭の設定とアプローチのすばらしさに比べて、
その次の章のステロタイプにかっこよすぎる弁護士や、その部下との理想的過ぎる関係で失速し、
一気にジュブナイルっぽくなってしまうのは残念だ。
それでも、テレビドラマ等より感動させられてしまうし、悪くはなかったと思うのだ。

また、ジュブナイルラノベの傾向がないとはいわないが、
女子高生が出てくるからといってすべてがラノベではない。これもラノベっぽくはない。
JKたちの素直さや単純さがなければ、このネタは単に古臭いだけのものになってしまうし、
                        (いや、たしかにSF感を除いて記憶ネタに突進すれば、古臭くはなる)
主人公が大したことを考えてるわけでもないのに、繰り返し同じ事ばかりを言っていてくどいのだが
その分、弁護士のイベントや、要のイベントが面白かったので、飽きることもない。
当事者と、関係者、その他の対比も描かれていて、それはそれで面白いと思う。

ラストが……もうちょっとひねったほうが良かったかな、と言う気はする。

このラストのせいでラノベって言われちゃうのかな。   (注:ラノベラノベの面白さや良さがあると思う!)
タイトルは「JM(記憶屋ジョニー)」を連想し、
事件へのアプローチの仕方がどことなく「リアルヘブンにようこそ」を思い出させる。
ラストも、なんか他の小説を思い出しそうだ思い出せない。
そもそも、どうしてこれが角川ホラーなのか、と言う気もする。

でも、悪くない。

この直球の切なさは、新しくなくても、誰にでも伝わるものだと思う。
とにかく、このシリーズの新しいのがあったら購入するだろうな、と思う程度には面白かったです。